12社のグループ会社をもつ「日の丸自動車グループ」。その中から今回ご紹介するのは、「ダイヤ交通株式会社」です。
タクシー会社が集まる足立区の中でも、特にドライバーさんからの評判が高いそうですが、
どんな会社なのでしょうか。じっくり取材してみたいと思います!
ダイヤ交通があるのは、竹ノ塚駅から車で6分ほど走ったところ。
国道から一本入ると、両脇には団地が広がり、穏やかな時間が流れていました。
通りの先の五差路に面しているのがダイヤ交通の社屋。すぐ側にある足立清掃工場の煙突が目印です。
会社の前に着くと、運行管理者の高日成さんが出迎えてくれました。今回は高さんに案内していただきましょう!
- 社屋の隣にある駐車場には、コンフォートやプリウスが並んでいます。洗車はドライバーさんが各自で行っているのでしょうか?
高さん:「洗車は、近所の団地に住む方たちにパートに来ていただき、洗ってもらっています。弊社の駐車場は車同士がぴったり隣り合うつくりになっているので、洗車の設備が置けないんですよ。そこで40〜50年前に、ドライバーさんたちが『ならば自分の奥さんたちに洗ってもらおう』と言って始めたのがきっかけです」
これは、他のタクシー会社にはない独自のシステム!
パートの方たちが洗ってくれるおかげで、ドライバーさんたちは帰庫後の仕事が減り、身体の負担も軽くなったといいます。営業を終えて疲れている時だからこその嬉しい配慮ですね。
続いては、社屋の中を拝見しましょう。
奥の休憩所では、囲碁や将棋をしたりしてリラックスの時間を過ごす方が多いといいます。
かつて使われていた出番表などもあり、レトロな雰囲気です。
高さん:「2階には仮眠室もありますよ」
階段を上がって仮眠室を覗いてみると、お掃除担当の方がちょうどベッドシーツを替えているところでした。
洗い立てのシーツなら、運行後も気持ちよく寝られそうです。
- それにしてもダイヤ交通は、どこを見ても、ホコリひとつなくてピカピカですね!
高さん:「弊社は社屋の築年数が経っているけれど、清潔感は保とうということで、毎日掃除しています。シーツも、未使用でも毎日交換しているんですよ」
たとえ設備が十分でない部分や古い部分があったとしても、人の力やアイディア次第で、快適な職場をつくることができる。ダイヤ交通からは、そんな信念が垣間見えてきます。
また、側には専用の整備場も。中では、整備士さんが車の塗装をしているところでした。
ここでは、ぶつけてしまった車を整備するほか、古くなった車を廃車にするための作業なども担当しています。
3名の整備士さんはベテランの方ばかりなので、車の扱いはお手のもの。
職人かたぎの方が揃っているのかなと、恐る恐るお邪魔させていただくと……
整備士さん:「せっかく取材に来たんだから、みんなでこれ食べな」
そう言って取材チームにお菓子まで分けてくれました。シャイな笑顔から、人の良さがにじんでいます。
実際に働くドライバーさんにも、話を聞いてみましょう。ダイヤ交通は、現任(現役のドライバーさん)の方が、他社から転職してくることが多いそう。まずは、別のタクシー会社で5年ほど働いた経験があり、現在はダイヤ交通に勤めて4年になる榎本茂さんに、お話をうかがいます。
榎本さん:「20代の頃にタクシードライバーをしていて、その後は家業を継ぎました。けれど家業が建築業だったこともあり、体力的に限界を感じまして。再びダイヤ交通でドライバーになりました」
- 他社を知る榎本さんから見ると、ダイヤ交通はどんな会社ですか?
榎本さん:「ダイヤ交通は、“おおらか”ですね。以前勤めていたタクシー会社では、ぶつけたり事故をしたりするとペナルティが課せられて、乗る車のランクを下げられたりすることもありました。ダイヤ交通では、事故を起こした時の指導はもちろんありますが、その後は特にペナルティもなく働くことができるので、沈んだ気持ちを引きずらなくて済むんです」
また、ダイヤ交通は厳しい上下関係が本当にない! と断言する榎本さん。60代のドライバーさんが多い中で、50代の榎本さんは若手に分類されますが、フランクな方ばかりなので接しやすいといいます。
榎本さん:「ゴルフとウォーキングの部活動があり、私は両方に所属しています。ゴルフのコンペに向けてみんなで練習したり、ゴルフの話をしたりして楽しんでいますよ。仕事の話は……少しだけ(笑)。運動不足解消にもなりますし、リフレッシュできますね」
社長さんを中心としたゴルフ大会の集合写真は、みなさんいい表情!
普段は個人仕事になりがちなドライバーの仕事ですが、こうした場面でコミュニケーションを取っているんですね。
続いては、未経験からドライバーになった久保昌弘さんにもお話をうかがいましょう。以前は総務の仕事をしていた久保さんですが、3年半前にダイヤ交通に入社したのを機に、ドライバーの仕事を始めました。
久保さん:「それまでと同じ職業を続けることが難しいとわかったので、だったら好きなことを仕事にしてみようと思い、タクシー業界に飛び込みました。とはいえ、始めたばかりの頃は失敗だらけでしたよ。
お客様を乗せる時に、行き先を聞いてからメーターを押さなくてはならないのですが、何度やってもメーターを押すのを忘れてしまって……。教育係をしてくださった高さんを、随分悩ませてしまったんじゃないかな」
後ろで話を聞く高さんも、「懐かしい」と目を細めます。
久保さん:「私は、自分の頭の中で目的地までのルートを描いてからでないと走り出せないところもあったのですが、お客様にはその方の希望するルートがありますから。まずはそれを聞いてみることが大切だと学びました。滞りなく業務ができるようになるまでには、1年くらいかかりましたね」
何回もくじけそうになったけれど、ダイヤ交通だから、高さんがいたから続けられたと久保さんは続けます。
久保さん:「高さんには、いろんな相談をしたり教えてもらったりしました。今でも感謝しています。また、サラリーマン時代と比べると、ダイヤ交通は上下関係でストレスを感じることがないので仕事がしやすいです。タクシードライバーをやっている限りは、この会社にいるつもりですよ」
ドライバーさん思いの経営方針が、働きやすさにつながり、家族的なダイヤ交通の雰囲気を生み出しているのでしょう。
最後は高さんに、運行管理者から見たダイヤ交通について聞いてみます。実は高さん、タクシー業界歴25年のベテランで、ダイヤ交通には10年前に入社しました。
高さん:「タクシー業界に入って以来、ずっとドライバー一筋で働いてきました。同じ場所にずっといることや定時で働くことが苦手なので、ドライバーの仕事はとても肌に合っていましたね」
- ダイヤ交通は、昔からドライバーさんの間で有名だったんですか?
高さん:「そうですね。ダイヤ交通は、洗車が必要ない、労働条件がいい、労務管理が厳しくないと口コミで評判になっていました。歩合率が高いから、同じ売上を立てても、他社で働くより収入が多くなりますし。
あと、有給休暇の買取制度もあり、年度末に給料にプラスして払われる仕組みになっているんですよ。タクシー会社は中退金に加入するところが多いのですが、ダイヤ交通は入っていますので、退職する時のことを心配する必要もありません。他にない手厚い制度が多いのも特徴ですね」
知人の紹介でダイヤ交通に転職した高さんですが、しばらくすると、目の病気が理由で運行管理者に転身することに。
高さん:「人に教えるのは割と得意だったので、運行管理者の仕事にもなじめました。けれど、ドライバーがなぜ失敗してしまったのかを考えたり、高齢のドライバーにどのように指導すべきかで頭を悩ませたりすることはあります。毎日同じ場所に通わなくてはならないのも、本来は苦手なことですし。
それでも運行管理者を続けられているのは、ダイヤ交通の経営陣が、働く人の立場に立って、いろいろな施作に取り組んでいることを知っているから。たとえばタクシーのメーターは21時間まで連続して使えるのですが、ダイヤ交通のものは20時間で切れる設定になっています。
帰庫後も納金などの作業があるので、その分の1時間を引いているんですね。ギリギリまで働かせようとする会社が多い中で、ダイヤ交通はドライバーの健康を最優先している結果です。会社のこうした思いに賛同しているので、自分にできることがあるならやってみようと思ったんです」
- お話を聞くほどに、みなさん会社に厚い信頼を寄せていることがわかります。実際にドライバーさんの定着率も高いのでしょうか?
高さん:「そうですね。勤続年数10年前後の方が多いです。そのため必然的に平均年齢も上がってきていて、今は平均62歳。せっかく入っていただいたから、引退までダイヤ交通で働いてもらえるよう、運行管理者として環境を整えていきたいです」
昭和35年の創業以来、一貫してドライバーを大切にすることを心がけてきたダイヤ交通。
働く方たちが生き生きと仕事のことを話してくれる姿が強く印象に残りました。
長く働けるところに就職したい方にオススメのタクシー会社です。