教官・同僚の優しさも励みに
大使館勤務からドライバーに転職
パキスタンでは外務省に勤めていましたが、日本のパキスタン大使館に転勤することになり来日しました。8年ほど前のことです。その後は日本人の妻と結婚し、子どもが生まれました。息子は現在4歳になります。
大使館の契約が終了した後は、日本の外国人向け求人サイトで仕事を探しました。家族の希望もあり、日本に住み続けたいと思っていましたから。その中で見つけたのが、日の丸交通のリクルートです。日本の免許証を持っており、運転が好きだったので、「これならできるのでは」と応募しました。
教官の懐の深さに助けられた研修期間
入社後に感じたのは、教官の方や会社の雰囲気があたたかいということ。研修ではタクシーのルールや地理、二種免許の試験を日本語で受けなければなりません。問題自体は難しくなくても、それを日本語で理解するのが難しいんです。日本人なら2ヶ月で修了できるところを、私は4ヶ月かかってしまいました。けれど教官はいつも「自分のペースで」「焦らないで」と言ってくれて、その優しさに支えられましたね。
一方、路上教習は厳しかったです。規則を守れているかチェックされ、できていないと叱られることもありました。でもそのおかげで、実際に営業するようになったら、運転が楽に感じられるようになったんです。今となっては、厳しく指導していただけてラッキーだったと思っています。
ノルマがないからプレッシャーやストレスもなし
大使館の仕事をしている時は朝から晩まで仕事漬けで、休日もほとんど仕事で埋まっていました。何より、精神的なストレスが大きいところが大変でした。肉体的な疲れは1日休めばとれますが、精神的な疲れは、問題が解決するまで続きますから。
日の丸交通にはノルマがないので、そうしたプレッシャーやストレスを感じることはありません。「この道を曲がってみよう」「この道はどこまで続いているんだろう」と地理を覚えるために走る時間は、楽しみのひとつにもなっています。
休みが増えて、家族との時間が持てるようになったのも嬉しいですね。休日は息子が好きな新幹線を見に行ったり、スカイツリーや東京タワーなどの名所に行ったりして過ごしています。
ベテランになるために、まずは無事故無違反で
はじめの頃は、お客様にどう対応すべきか迷ってしまうシーンもありました。そんな時は営業所に戻ってから職員の方に報告し、アドバイスをもらって次に活かすようにしてきました。ベテランドライバーの方は話しかけてくれるので、どこで営業したら良いか相談に乗ってもらうこともあります。 まだ新人なので、今の目標は少しでも早くベテランドライバーになること。そのために事故や違反をすることなく、安全第一で走るよう心がけています。一方通行の道や時間帯によって曲がれない道などもあるので、そうした細やかな部分にも気を配っていきたいです。