目標はトリリンガルを
活かしたドライバー
東京の奥深いところを知りたくてドライバーに
日本に来たのは30年ほど前です。気づけば、母国のオーストリアより日本にいる年月の方が長くなっていましたね。
来日後は、新潟でイタリアンレストランのシェフをしていました。シェフの仕事は26年ほど続けていたのですが、妻の実家がある埼玉に引っ越すことになったんです。そのため転職先を探していたところ、日の丸交通の求人を見つけました。
応募した理由は、もともと運転が好きだからということと、せっかく都内で働くなら東京のことを詳しく知りたいと思ったから。有名な観光地は訪れたことがありますが、もっと奥深いところを見てみたかったんです。タクシードライバーの仕事は未経験でしたが、年齢的なことを考えると、この先何度も新しいチャレンジができるわけではない。思い切って飛び込んでみることにしました。
やりがいはお客様との出会い、ふれあい
タクシードライバーをやっていると、毎回違うお客様と出会えて楽しいです。私が外国人だとわかると積極的に話しかけてくれたり、時にはお客様が覚えていてくれて「この前もあなたのタクシーに乗ったよ」と言われたりすることもあります。
お客様をお乗せする時に気をつけているのは、挨拶と返事をしっかりすること。あと、わからなければ「わからない」と素直に言うこと。あらかじめはっきり伝えることで、トラブル防止につながるんです。自分のタクシーに乗っていただいたからには、お客様には無事に、いい気分で過ごしていただきたいと思っています。「言葉遣いが丁寧で良かった」「気持ち良いサービスだった」と褒めていただくと嬉しいですね。
漢字と地理は、今も欠かさず勉強中
日本語での会話は問題なくできますが、漢字はまだわからないものもあります。ですから今は毎日、漢字の勉強を続けています。道や交差点の名称を読めるようになりたいんです。やってみると、初めて知る地名がたくさんあることに気づかされましたね。
また道路を走っていると、「この場所とこの場所は意外と近い」という発見をすることも。電車だと何度か乗り継いで行かなくてはならない場所も、車で走ってみるとすぐに着けるんです。
地理に関してはベテランドライバーの先輩に教えてもらったり、地図で確認したりする時もあります。でも何より、自分で運転して覚えることを大切にしています。実際に体で感じることが、身につけるための一番の方法だと思うんです。
トリリンガルを活かしたドライバーになりたい
お乗せするお客様は日本人が圧倒的に多いですが、外国人の方をお乗せすることもあります。お互い日本人でないとわかると最初は驚いてしまうのですが、最後には心を開いてくれます。観光で来日されている方の場合は、走りながら英語で案内してあげることもあります。とても喜んでくださいますよ。 私はドイツ語、英語、日本語が話せるのでトリリンガルであることを活かして、将来的には観光タクシーも目指していきたいです。そのために、今は地理を覚えて一人ひとりのお客様を大切にしていこうと思っています。